紫煙
春島が近い所為か、ゴーイング・メリー号は今日もゆっくりと時を刻んでいた。
サンジはふう、と息を吐いて甲板に出てきた。
そして、ぼんやりと考えた。
“偉大なる航路”に入ってから、船員(特に野郎共)の食欲がどっと増したように思えていた。
長く、あの海上レストラン“バラティエ”の一コックだったとはいえ、
休まずに異常な強さの海賊達や政府、海王類と対峙して
その後、異常な食欲を満たそうとする異常な胃を持つ仲間のために働き続け(女性陣には特に渾身のメニューで)
夜は明日の仕込みをしつつ、盗み食いする船長から大切な冷蔵庫を守る死闘を繰り広げる日々。
ようやくできた、ほんの一瞬の休みに
サンジは、効率良くしっかり休もうと心に決めた。
邪魔しやがったら絶対殺す、と。
外に出て見渡すと、甲板の壁にもたれてが頭をフラフラ揺らし眠っている。
船が波に乗るのと同じ間隔で動くその姿からは、いつものの傲慢さや冷たい態度や鋭さを想像するのは難しい。
それほど可愛いと思った。
だからといって、女性らしい可愛いらしさは微塵も感じさせないが。
サンジは意識してそんなのすぐ横に座ってタバコを銜えた。
は、人の気配を感じて薄く目を開いて周りを見た。
隣に座っているのがサンジだと分かると、「お前かよ…」と小さく呟いた。
その反応が予想通りで、サンジはニッと笑みを零した。
「ランチだ。今日はグラタンだ。食いやがれ。」
「…いい。」
は少し考えてから返事をして、重そうに頭を自分の腕に埋めた。
「あァ?なんだと、コラ?オロスぞ。
一流コックが作ったんだ、ありがたく食いやがれ。」
「…寝起きで食わすな。」
「無くなんぞ。」
「…そこまでして食わなきゃなんねえモンなんか世の中に存在しない。」
そういえばつい先日、サンジはの生活することへの興味の無さを痛感していた。
出されたものは食べない。
人が栄養のバランスやら船員の好き嫌いを考慮して作ってやってるというのに。
アルコール以外の水分は摂らない。
クソマリモと気がつけばずっと飲んでやがる、腹立つ。
ぼんやりするか、タバコを吸うか、両方を同時にこなすか、そんな姿しか見ない。
話しかけづらいだろーが。
早い時間に眠りに就く。
ガキかってぐらい早ェ。
…コイツはどうにかしてやんねェと。
サンジはそう思った。そう思うしか、今のところはできないような気がした。
ふと、がうずくまっていた顔を上げて真っ直ぐにサンジを見た。
「サンジ、タバコ切れたんだった。よこせ。」
「今吸ってんのでも良いかよ」
「フザケンナ」
嫌そうな顔をしてサンジの肩を軽く殴ったは、ほんの一瞬笑った。
「いいから、1本。」
サンジは、笑いながらタバコを1本取り出しての口に突っ込んだ。
「ほらよ。」
「ん、さんきゅ。」
礼を言うは初めて見た気がした。
悪戯に笑う顔が煙で隠れた。
よく考えれば、自分の料理はこんな煙に負けたようで悔しくなってきた。
どうしてそんなに幸せかね、とサンジは思った。
久しぶりに、煙が目に凍みた。
「おやつにシフォンケーキとセージのハーブティーです。」
「あら、ありがと サンジ君。」
「…うら、てめェも食え。」
「だから、オレいらねえって。」
「うるせー、てめェが何食いてェのかは オレが探す。」
「…はぁ?」
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ななな・なんていうか、ゴメンナサイとしか言いようが、無い…。(がっつり土下座
好き勝手に書いた感否めないので、責められて当然です。
こんなでよければ捧げさせてください〜っ。そして、どうか見捨てないで下さい!!
それでは、リクありがとうございました!!!!
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カラさんから頂いたキリリク小説です・・・!
サンジ、この、このサンジ愛しすぎませんか!?